2021年3月25日、NKNメインネットのフルコンセンサス・ノード数が40,000を超えました。これは、世界最大のブロックチェーン・ネットワークとしてのNKNの地位を、さらに強固なものにする重要な成果です。参考までに、ビットコインとイーサリアムのフルコンセンサスノード数は、現時点でそれぞれ約1万ノードです。
最近、ある人から質問されました。「なぜそんなに多くのノードを持っているのですか?そのような複雑なシステムを管理するのは大変じゃないですか?今年の年末までの立ち上げたい目標ノード数はいくらですか?5万?10万?」
そしてさらなる深い疑問が立ちはだかります。「なぜ、数十億のノードが重要なのですか?」
なぜ分散化が重要なのか
NKNプロジェクトの立ち上げ時を振り返ると、私たちはアンドリーセン・ホロウィッツのクリス・ディクソン氏が書いた「なぜ分散化が重要なのか」というタイトルの記事に、大きな影響を受けました。中央集権型のプラットフォームは、添付の図に示すように、予測可能なS字カーブのパターンを描きます。
- 中央集権化されたプラットフォームは、スタート時には、開発者やパートナー、ユーザーがプラットフォームに参加してくれるように、彼らを引きつけるためのあらゆる手を打ち、プラットフォームの価値を高めます。
- いったん中央集権化されたプラットフォームが成功し、S字カーブの頂点に達すると、開発者やパートナーとの協力関係から競争関係に切り替わります。そして、データを収集し、ユーザーから価値を引き出します。
それとは対照的に、ファイルコインやNKNのような分散型Web3.0プラットフォームは、開発者、クリエイター、パートナー、ユーザーのすべてがプラットフォームの所有者であるため、常に一緒に成長していきます。NKNプロジェクトチームは重要な役割を果たしていますが、私たちはNKNエコシステム全体のステークホルダーの一人に過ぎず、今日のインターネットジャイアントにおけるS字カーブを回避することができるのです。
より多くのノード、より良いサービス
NKNは基本的にデータ通信ネットワークです。つまり、ノードが多ければ多いほど、ネットワークのキャパシティは大きくなります。ヨーロッパのボーダフォン、アメリカのAT&T、中国のチャイナモバイルなどを考えてみると、セルタワーの数が多ければ多いほど、スマートフォンのユーザー体験が向上します。これは、各ノードがデータの中継と帯域幅の共有を行っていることから、NKNにも当てはまります。
現在、NKNの4万台のノードの多くは、約100Mbpsから1Gbpsのインターネット接続を持ち、それぞれが数百から数千のNKNの同時接続クライアントにサービスを提供しています。これを合計すると、同時接続クライアント数は約4,000万、毎秒40テラビットになります。さらにわかりやすく言えば、40テラビット/秒で160万人の4K超高精細映像の同時配信が可能になります(各25Mpsの場合)。これは、驚異的な太さのデータパイプです。さらにノードの数が10倍、100倍と増えていけば、本当に地球全体にサービスを提供できるようになります。
地理的な多様性は、少数の巨大なデータセンターに依存している今日のインターネット大手と比較して、NKNの分散型ネットワークのもう一つのユニークな強みです。NKNのノードは世界の45以上の国と地域で稼働しているため、ユーザーの近くにあるエッジサーバーが常に複数存在しています。遅延の改善は2〜5倍にもなり、幸せなゲーム環境とイライラがたまる途切れがちな環境とに大きな違いを生み出します。
最後に、NKNのノードは通常24時間365日稼働しており、BitTorrentのような従来のP2Pネットワークと比較しても、良好な可用性を提供しています。これにより、ネットワークの信頼性がより高まり、ユーザーのパフォーマンスを予測することができるようになります。
全ての小さなノードは平等
4万ノードのネットワークを持っていると、「NKNシステムは非常に複雑で、管理が難しいのではないか?」という質問をする人がいても不思議ではありません。しかし、その答えも意外とシンプルなものです。「いいえ、NKNネットワークは非常にシンプルで、まったく複雑ではありません!」 どうしてでしょうか?
NKNの各ノードは完全に独立した平等な存在で、まったく同じソフトウェアを実行しています。そのため、中央で「管理」しているものはありません。これだけの数のノードが独立して、しかも同時に協調して働くことができるのは、NKNのソフトウェアとコードのマジックなのです。そしてその結果、システムは首尾一貫したものになっています。
NKNのネットワークは、**MOCA(Majority vOte Cellular Automata)**コンセンサスアルゴリズムにより、任意の数のノードにスケールアップできるように設計されています。現在は4万台を超えていますが、将来的には数百万台、数十億台になることが予想され、コードもそれに対応できるようになっています。
さらに、世界には何十億人もの人間と何兆個ものスマートデバイスが存在する可能性があります。そして、すべての人間やスマートデバイスがNKNのノードやクライアントになる日が来ることを楽しみにしています。
コミュニティにより所有されトークンエコノミクスで動く
NKNは真の意味でコミュニティが所有するネットワークであり、それ自身で動きます。現在、コミュニティが全ノードの99.9%以上を運営しているのに対し、NKNプロジェクトチームは全ノードの0.1%以下しか運営していません。そして、その少数のノードは主にテスト目的で運営されており、私たちのノードには特別な力や特権はありません。いつでもhttps://nscan.io/にアクセスして、リアルタイムのノードマップを見ることができます。また、オープンソースのクローラーを使ってネットワーク内のノードのリストを得ることもできます。
従来の通信ネットワークでは、AT&Tのような通信事業者は、1セントの収益も得られないうちに、何十億ドルそして何年もかけて5Gネットワークを構築する必要があります。これは経済的に大きな負担であると同時に、リスクでもあり、新しい技術の導入を妨げることが多いのです。
一方、NKNネットワークはクラウドソースであり、最初からコミュニティによって構築されています。マイナーは、技術的なスキルをほとんど必要とせず、NKNノードを運営するのは、月に数ドル程度の費用で済みます。経済的なリスクとコストの両方が、コミュニティ全体に分散されており、非常に初期の段階でも、価値のあるトークンを獲得することができます。
**トークンエコノミクスは確実にNKNネットワークの成長を後押ししています。**NKNトークンの価格とノード数には、ほぼ直接的な相関関係が見られました。なぜなら、マイナーは利益を追求し、利益がある場合にのみノードを稼働させるからです。現在の価格では、ノード数は約40,000です。つまり、理論的にも歴史的にも、NKNの価格が上昇すれば、それに応じてノード数も増加するということです。
さてここでちょっと立ち止まって考えてみましょう。もしイーロン・マスクのスペースXスターリンク衛星をNKNタイプのトークンエコノミクスで展開できるとしたら、それは今以上に画期的なことではないでしょうか?(私のエッセイ「スペースX スターリンク・マスター計画」には、いくつかのイースターエッグを載せています。)
何十億単位のノードの意味
結局のところ、10億ノードのネットワークが意味を持つのは、そこに豊かなアプリケーションが存在し、幸せなユーザーが十分たくさんいる場合だけです。開発者とユーザーの心をつかむことが、NKNのような永続的なブロックチェーンネットワークには決め手となるでしょう。
一方で、**ユーザーは、日常的に使っているアプリケーションがブロックチェーンネットワークの上で動作しているかどうかを見分けようはありません。**ユーザーは、ウォレットやブロックチェーンを理解しなくても、パーソナルコミュニケーション、ソーシャルネットワーキング、エンターテインメント、スマートホーム・モニタリングなど、今と同じように日常のアクティヴィティを楽しむことができます。例えば、当社のチャットアプリnMobileは、Signalアプリと同じように動作します。当社のセキュア・リモートアクセスアプリ nConnectは、Synology、Asus、そしてQNAPに採用されており、中央集権的なプラットフォームを使ったオリジナルのソリューションよりも優れたパフォーマンスを発揮します。
一方で、ユーザー、開発者、パートナーは、ブロックチェーンネットワークの共同所有者となります。rule110のようなコミュニティ開発者が、surgeという100%プライベートなファイル共有アプリケーションや、https://nknx.org のようなマイナー向けのアプリケーション群を構築し、初期に採用された例があります。適切なインセンティブと適切なサポートがあれば、NKNネットワークの成長に伴い、より多くの普及が見込まれます。また、私たちはNKNエコシステムのガバナンスにNew Kind of Proposalを採用しており、すべてのステークホルダーがNKNの将来の方向性について発言権を持っています。
そして、私たちは10億のNKNノードが、速くて、公平で、素晴らしい未来のインターネットを照らす日が来ることを楽しみにしています。